VOL.1
組立茶室の可能性〜
「匠創庵」に込めた思い

2022 / 1 / 23

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ものづくり匠の技の祭典2021が12月18日19日に開催されました。

オンラインのみで無観客ではありましたが、枯山水の庭と共に「匠創庵」を組立て、東京を代表する匠の方々との茶室談義で盛り上がりました。

「匠創庵」は日本の伝統の技を茶室を通して世界に発信するために、第一回ものづくり匠の技の祭典2016で発表しました。八畳広間+水屋+二畳台目小間の本格的な茶室です。

茶室の組立は4時間、造園に6時間かけて約10時間で完成します。
世界中どこでも海を渡って移動できるようにとオーシャンブルーのタイルで海をイメージして「匠創庵」は建っております。

ものづくり匠の技の祭典2021

​大工の

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茶室建築の主役はもちろん大工です。大工とは古くは単に木工事をする職人ではなく棟梁とも呼ばれ職方をまとめる長でした。「匠創庵」は時間の無い中で設計1ヶ月、施工約2ヶ月という短期間で完成したのは棟梁の技あってのことです。柱は杉の面皮柱を基本に錆丸太と磨き丸太、栗の六角ナグリ柱、コブシの中柱など銘木を使用。栗ナグリの土台に柱を立て、敷居、鴨居、廻り縁を順次繋いでいきます。床下地は組立スピードを上げるためボックス型として並べ畳を敷き詰めていきます。天井は軽やかに市松に竹を並べ、受けと欄間には47都道府県の透かし彫りを配置して、日本全国の匠が集結した茶室を表現しました。釘やビスは一切使わず全て枘組のみです。ちなみに2時間で解体移動できます。

​左官の

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広間と水屋の聚楽壁はパネル毎に本聚楽を塗り、柱に溝を掘り差し込み壁としてあります。
先にパネル下地を造っておき、大工工程とは関係なくじっくり左官塗りができるようにしました。

左官も下地が重要であり何回も下塗りをすることで割れにくい壁となります。
聚楽壁は、京都の西陣近くに秀吉が聚楽第を造ったときに使われた土です。本物の聚楽土は非常に貴重で現在ではあまり取れなくなくなってしまってます。

​建具の

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小間の壁は組子の透かし壁であり、麻の葉(女)を中心に床の間壁を桜亀甲(男)です。
2万ピースの木片を組み合わせてできあがった組子壁に囲まれた空間から透けて見える風景は心静まります。障子の桟も杉の面取りとして繊細で粋な手技で。
現在の住宅では建具は既成品が当たり前になってしまってますが、本来建具は空間を構成する最も拘りたい要素であり匠の技です。

経師の

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襖には鳥の子と江戸唐紙を張ってますが、さらに重要なのは下地です。何層にも和紙を張り袋張りなどの技法も使い、表の襖紙の張り替えがしやすいような工夫し、和紙をカッターではなく繊維を残して裂くように切り、繋ぎ目の段差がでないように配慮しています。見えないところにこそ匠の技が随所に隠されております。

​江戸小紋壁

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今回初めてのこころみで、古い伊勢型紙から蝶と百人一首の型紙を選び、色の調合から決めて造った江戸小紋を経師壁として床の間廻りに取り付けております。伊勢型紙は彫る方も高齢となり現状で新しいデザインや図案が造れないほど厳しい状況です。襖壁や建具にも反物を使ったりして工夫して新たな可能性も生まれてくることを期待します。

太鼓

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茶室の茶道口や給仕口などで主に使われる縁の無い襖ですが、両面に和紙を張りながらも木の骨組みが透けて見えるようにも造ります。引き手も塵落としや塵受けなど流派や好みに寄っても多少変わってきます。

​タイルの

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海のさざ波をイメージしたオーシャンプルーのタイル床。30数枚のパネルに分けて製作して組み合わせております。小間の亀甲組子壁を見つめるモザイクタイルの亀も泳いでおりまさに海に浮かぶ茶室を作り上げております。
茶室にタイルを使うことは、通常はあまりありませんが、床や壁にゆらぎのあるタイルなどは非常に合うと思います。

庭師の

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いままで過去4回「匠創庵」の庭を造ってきましたが、今回は海外でも人気の枯山水としました。光月台から繋がる景石の島を浮かべ玉砂利で波を造り、蹲いまでの苔露地とは対照的ですが、滴をイメージした楕円形の庭にうまく納まりました。

枯山水・石庭

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枯山水の庭は石庭ともよばれ平安時代は庭の隅に石組みがある程度でしたが、鎌倉時代になり禅宗が日本に伝わると禅寺には本格的に石組みの庭が造られ、さらに室町時代には石や砂で水を表現した枯山水が完成していきます。枯山水は禅と結びつき瞑想の庭として好まれ多く造られてきました。有名なのは銀閣寺や竜安寺の石庭があります。
英語では「ZEN Garden」と言われて海外では非常に人気です。

露地

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茶室の庭を露地と呼び、腰掛け待合から飛び石や延べ段を歩き中門を通り、蹲いで手と口を清め、席入りします。飛び石も二連打ちや三連打ち、千鳥など様々に打ち方があり歩きながら心落ち着かせ茶室への期待も高まる道筋です。

「匠創庵」の扁額は裏千家第十五代御家元であった千玄室大宗匠の命名です。まさに
匠が創造する庵です。様々な匠が結集してできあがった組立茶室「匠創庵」は世界へ匠の技を発信する役割と共に、これからの新たな茶室空間作りのヒントが詰まっております。

 

有限会社 椿建築デザイン研究所代表取締役

​椿邦司

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オリーブ

イタリア半島のつま先部分のコパネッロ岬。

ここで、農薬や肥料を一切使わず自然のままにオリーブを育てる農園を、ガッティ家の皆さんが運営されています。この希少なガッティ家の早摘みオリーブを低温で搾った、希少なオリーブオイルをご紹介しています。

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千葉県北部から茨木県南部にかけて、霞ケ浦と利根川の豊富な水の恵みを古来よりうける「北総」地域。

江戸時代から米作りが盛んな地域で、古くは利根川経由で江戸にお米を供給しています。

​この地域の休耕田を再開墾し、美味しいお米・水田の再生に取り組んでいます。

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北総地域で育つ美味しいお米は、地域に多くの富をもたらしました。地域の米作農家の家屋は、建築視点からも非常に高い価値があります。

​残念ながら、北総地域も人口流出・高齢化が進み、結果これらの価値の高い建築物も荒廃が進んでいます。

​建築家としての知見・ノウハウでこれらの古民家を再生し、宿泊施設として提供しています。

椿邦司のサイドプロジェクト

SIDE PROJECT